口腔筋機能療法(MFT)M F T
あなたの歯並びが悪い原因は?
歯並びが悪くなる原因には、様々な要因がありますが、大きく分けると「遺伝的要因」と「環境要因」の2つで説明されます。
歯並びを悪くする『環境要因』とは?
口腔周囲筋の機能不全がある場合、正常な顎の発達や呼吸、発音、咀嚼、嚥下(飲み込み)が正しく行われず、歯並びが悪くなる場合があります。
また、指しゃぶり、ほおづえ、丸飲みなどの悪習癖、悪い姿勢、その他様々な原因が歯並びを崩す原因となります。 これらの習癖は後天的な要因です。
あなたにも、歯並びを悪くする癖があるかもしれません
⇩ 下のリストでチェックしてみましょう!
自己診断チェック
普段の生活の中で…
- いつも口を開けている
- くちゃくちゃ音を立てて食べる
- 唇が荒れやすい
- カゼをひきやすい
- 猫背
食事のとき…
- よくかんで食べない
- 足のつかないイスで食事をしている
- 水がないと食事ができない
- 舌が食べ物を迎えに行く食べ方
- 硬いものを食べることが苦手
舌や唇の使い方
- 舌の先がいつも上または下の前歯の裏に触れている
- 舌の先がいつも上下の前歯の間に触れている
- 唇にグッと力が入っていることがある
- 水を飲み込むときに唇の周りに力が入る
- よく歯に物がつまるのでいつもそこを舌で触っている
このような癖はありますか?
- ほおづえをつく
- 寝る時はいつも横向き
- 爪をかむ
- 唇をかむ
- 指しゃぶり
なぜ、普段の癖が歯並びを悪くするのか
口腔周囲の筋肉の不調和は、不正咬合の原因となることがあります。
とくに、指しゃぶり、口呼吸、低位舌、舌突出癖、といった口腔習癖は歯列に大きな影響を与えることが知られています。
これは、歯列が舌や口腔周囲筋の調和がとれた場所に位置する性質を持つからです。
口腔周囲筋群のバランスがとれた位置に歯列弓は位置する
安静時の状態
安静時の正しい状態
- 舌尖がスポット☆についている。
- 口唇は軽い力で閉じている。
- 上下の歯の間は数㎜あいている。
- 鼻で呼吸している。
※ スポットとは、口蓋の切歯乳頭後方部のことを指します。
誤った舌位による影響の一例
開咬
安静時に舌が上下の歯間にあるため、歯の萌出が妨げられています。
嚥下(飲み込み)の仕方
正しい嚥下(飲み込み)
- 舌尖はスポットについている
- 嚥下時に臼歯をかみしめる
- 舌後方部が挙上し軟口蓋と接する
- 口唇・顔・全身をリラックスして飲み込む
誤った嚥下(飲み込み)
- 舌を挙上させず前方/側方に突出させて嚥下する
- 嚥下時に臼歯をかみしめない(=咀嚼筋の緊張がない)
- 舌後方部・軟口蓋・咽頭部の動きが悪い
- 口腔周囲筋を緊張させて飲み込む
誤った嚥下による影響力の一例
空隙歯列
嚥下時に舌を前方突出させるため、歯と歯の間に広がっている。
口腔筋機能異常の原因
- 指しゃぶり
- 巨大舌/舌小帯付着異常
- 外傷やむし歯による乳歯の早期喪失、永久歯の先天欠如
- アレルギー性鼻炎、アデノイドや口蓋扁桃肥大などの鼻咽腔疾患
- 口腔周囲筋の筋力低下
など
口腔筋機能異常の影響
※歯列不正以外にも様々な影響を及ぼします。
- 食べ物を飲み込みにくい
- 顔面の筋肉を過緊張させて飲み込む
- 不明瞭な発音
- 口唇閉鎖不全
- 口呼吸
- 口腔内の乾燥による歯肉炎・着色
- 床矯正装置を舌で押して外れやすくなります。
- 口もとの前方突出
など
お口の癖は『口腔筋機能療法(MFT)』で改善することができます
口腔筋機能療法(MFT)とは?
口腔筋機能療法(Oral Myofunctional Therapy、以下MFTという)は、食べる(咀嚼)、飲む(嚥下)、発音、呼吸、舌の位置、口唇の位置などの改善を目的とした各種トレーニングを行うことにより、口腔周囲の筋肉バランスを整える療法です。
長年にわたってついた癖は、早くても半年、状態によっては2~3年以上かかることがあります。
当院では、矯正治療のスムーズな進行および矯正治療終了後も長期の安定的な保定を実現させることを目的として、この療法を積極的に取り入れています。
※当院では矯正治療の一環としてMFTを行なっております。MFTのみご希望の方はお引き受けしておりませんのでご了承下さい。
トレーニング内容(一部)
トレーニングの目標
- 口を大きく開け、スティックをスポットに軽く押し当て、5つ数える。
- リラックス時の正しい舌や唇の位置を覚える
- 正しい飲み込み方を覚える
スポット
姿勢を良くして、鏡を見ながら1)と2)を交互に5~10回行います。
- お口周りの筋肉の力を強くする。
- スティックをはずし、舌尖をスポットにつけ、5つ数える。
ティップ
- スティックを口の前に垂直に持つ。
- 舌を前方に出し舌尖をとがらせ、舌とスティックの両方で3秒間押し合う。
- スティックを離し、力を抜いて口唇を閉じて休む。5~10回繰り返す。
ポッピング
- 舌尖をスポットにつけ、舌全体を口蓋に吸い上げる。
- 口を大きく開け、舌小帯をできるだけ伸ばす。
- 舌で口蓋をはじくようにし、ポンと音を立てる。10~15回繰り返す。
カッスワロー
- 口を大きく開け、人差し指を舌前方にあて、下顎前歯とともに軽く押さえる。
- “カッ”と言って、舌後方部が持ち上がる状態を鏡で見る。
- スプレーの水を口蓋にあてるように注水し、2と同じような動きで、口を大きく開けたまま飲み込む。
- 指を外し、もう一度注水し、舌尖をスポットにつけ、「イー」と言って口唇を開けたまま飲み込む。5~10回繰り返す。
この他にも数十種類のトレーニングがあります
トレーニング内容は、個々の患者さんの状態に合わせて、術者が選んでトレーニングを進めていきます。
トレーニングで使うもの
トレーニング内容を記録するためのファイルをお渡しします。
口腔筋機能療法(MFT)の治療の流れ
STEP① 検査
お口周りの筋肉の状態を検査します。
(矯正治療の検査・診断の後に行います)
STEP② 診断
治療計画をご説明します。
STEP③ 通院
段階的に進むトレーニングを順に練習していきます。
STEP④ 自宅
ご自宅で、毎日練習します。
STEP⑤ 繰り返す
課題ができたら、次のトレーニングに進み、③~④を繰り返し実践する
– 治療は月に1回のペースです –