歯石が歯の移動の邪魔をする!?BLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック・院長の東野良治です。
みなさん、「歯石」をご存知ですか?
歯石とは、プラーク(歯垢)を放置した結果、それが石のように固まった塊のことです。
非常に硬い塊で、普段の歯磨きで除去することは困難です。
一般的に、歯石の沈着は「歯周病」との関連が深いとされていますが、矯正治療にも悪影響を及ぼします
歯石とは何なのか?もう少し詳しく見ていきましょう。
▶歯石って何?
かかりつけ歯科医をお持ちの方は、歯石を取りに定期的に検診を受けられているのではないでしょうか?
なぜ、歯科医院にわざわざ歯石取りに行かないといけないかというと、歯石はホームケアでは除去できないからです。
歯石は、歯の周りにつく石のようなものです。
成熟した歯石は1~2日でできるわけではありません。
まず、歯の表面にプラーク(細菌の塊など)が沈着します。
プラーク中の細菌間には小さな結晶が認められ、それが唾液中のカルシウムやリンなどのミネラル成分と結びつき徐々に石灰化し始めると、細菌自体もまた結晶化し、歯石として成熟していきます。
石灰化の初期段階は2~3日で生じるとされていますが(初期の歯石)、いわゆる「成熟した歯石」になるまでには数か月を要するといわれています。
成熟した歯石になるまで数か月かかるわけですから、歯石が成熟しないようにホームケアすることが大切だといえますね。
次の動画はプラーク沈着を伴う矯正治療中のブラッシング風景です。
*プラーク
プラークとは歯表面にできた被膜上に繁殖した「細菌、細菌の産生物、剥離上皮、食物残渣の一部など」で構成されています。80%の水分と20%有形成分で構成され、有形成分の70~80%は細菌です。
ここでは、わかりやすく「プラーク=細菌の塊」と表現しています。
▶歯石沈着はなぜがダメなのか?
歯石自体は石なので、それ自体が悪いわけではありません。
ではなぜ、歯石沈着がダメなのか?
それは歯石が、プラークなどの細菌を蓄積させる”巣”になるからです。
歯石に沈着した細菌は、様々な炎症性物質を産出し、歯肉炎や歯周炎を引き起こします。(歯周病)
歯周病は歯の病気だけではなく、「心臓疾患、脳血管疾患、糖尿病、誤嚥性肺炎、骨粗鬆症、癌、早産」などといった全身にも影響を及ぼすとされています。
(*日本臨床歯周病学会のHPをご参照ください。)
そのため、歯周病を改善することは非常に重要なことといえます。
▶歯石は歯の移動を邪魔する?
ようやく、本ブログのテーマにたどり着きました。
歯石の物理的特性は”硬い”ということです。
この硬いという特性がゆえに、ごく稀に矯正治療中の歯の移動を妨げることがあるのです。
ごく稀にというのは、矯正装置(特にブラケットと結紮線)周りに歯石が沈着してしまった状況を指します。(頻度はそれほど高くありません。)
このことにより、矯正用ワイヤーとブラケットスロット間での摩擦が大きくなるのです。
通常、歯は50gほどの微力な力によって動くといわれています。
つまり、微弱な矯正力が矯正装置周りの強固にくっついた歯石に負けてしまうということです。
歯の移動が妨げられれば、治療期間の延長にもつながります。
また、矯正治療中の歯石沈着が歯周病に発展すれば、矯正治療後のブラックトライアングル発生につながる可能性もあります。
*矯正装置(ブラケット)とワイヤー間の摩擦差による滑りの違いがよくわかる動画です。ご覧ください。
▶まとめ
歯石沈着は百害あって一利なしです。
矯正治療中であれば尚更、注意したいものです。
そのため、矯正治療中であってもかかりつけ歯科医での定期検診は重要だといえるでしょう。
歯並びでお悩みの方は是非ご相談ください
歯学博士・矯正歯科専門医である東野良治院長が対応いたします。些細なことでも構いません。お気軽にご相談ください。
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投稿日:2017年7月4日 カテゴリー:よくある質問, 口腔衛生・予防歯科