急速拡大装置(Rapid Expansion)BLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
今日は「急速拡大装置」という装置についてお話します。
聞きなれない装置ですよね。
矯正装置としてそれほど出番が多いわけではありません。
役割は、上顎を大きく側方に拡大することです。
大幅に拡大、しかも短期間にです。
▶拡大方法には急速拡大法と緩徐拡大法がある。
拡大方法は大きく分けて2通りあります。
「急速拡大法」と「緩徐拡大法」です。
本ブログで取り上げるのは急速拡大法の「急速拡大装置rapid expansion」です。
(本装置は固定式タイプです。患者様ご自身で取り外しができません。)
成長期のお子さんの上顎骨は2枚の骨が合わさってはいますが、まだ完全にくっついていません。
この2枚の骨が離れる方向に大きな力(kg単位の力)をかけると離開するのです。
離開後、一定期間スペースを保つと間に新生骨が添加され安定してきます。
この現象を利用して、大きな拡大を行うわけです。
骨自体を大きく拡大するため後戻りも少ないとされています。
▶2週間ほどで拡大終了、最大11㎜も拡大できます。
最大のメリットは、短期間で勝負が付き、大きな拡大を期待できることです。
これは、スペースを獲得する5方法の1つ側方拡大の最終手段です。
適応症例は混合歯列期から上顎正中口蓋縫合が癒合する12歳くらいまでとされています。
しかし、これまで本院で適用した症例を勘案すると16~18歳くらいまではトライする価値ありだと認識しています。
それでは症例を見ていきましょう。
まずは、急速拡大装置が一目でわかる動画をご覧ください。
引き続き実際の症例写真をご覧ください。
症例は左上2番目の歯の萌出スペースが全くありませんでした。
患者様の年齢、配列に必要なスペース、上下顎歯列幅径のバランスなどを考慮し、「非抜歯矯正」が妥当だと診断し治療を進めることとしました。
まず、急速拡大装置でスペースを確保し、そのスペースを1か所に集めました。
そののち、左上2番目の歯の配列を行っています。
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▶まとめ
ご紹介しました症例は一見「抜歯矯正」かな?と思われるくらいスペースが足りませんでした。
大きなスペース確保が期待できる急速拡大装置だからこそ「非抜歯矯正」を達成することができるのです。
しかし、この急速拡大装置の適用症例は限られています。
その見極め(診断)が重要なのです。
もう1つ大切なことがあります。
「抜歯矯正」より「非抜歯矯正」がすぐれた治療というわけではありません。
症例によりどちらが良いかは変わってきます。
今回の症例は「非抜歯矯正」の方が長い目で見たときのメリットが大きいと判断したため、このような診断を行ったのです。
(さらにスペース不足の症例であっても、「非抜歯矯正」を目指す場合もあります。)
逆に、今回より軽度症例でも、「抜歯矯正」の方が良いと診断する可能性もありますのでご注意ください。
私の症例はどうかな?とお悩みの場合は是非ご相談にいらしてください。
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投稿日:2014年10月5日 カテゴリー:大人の矯正治療, 子どもの矯正治療, 歯並び・かみ合わせ・矯正治療, 症例