口ゴボ(くちごぼ)についてBLOG

こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。

 

本日は「口ゴボ(くちごぼ)」についてお話しします。

 

ここ数年、「口ゴボ」の相談が急増しているように思います。

 

ピンとこない人はこちらのイラストをご覧ください。

参考ブログ)E-line(イーライン、エステティックライン)~美しい口元の評価基準その1~

 

 

「口ゴボ」とは、口元が前方に突出している状態を指し、横から見た際に口元が膨らんでいる、お口が閉じにくそうな所見が認められます。

よ~く見ると口周りの筋肉に緊張状態が生じていることがわかります。

この状態は、見た目だけではなく、健康上のマイナス面があると言われています。

矯正歯科医の立場からすると、見た目以外の健康上の問題点という観点から、是非とも治療に来院していただきたい不正咬合の一つです。

 

 

 

▶口ゴボとの原因は?

・骨格的要因

上顎骨や下顎骨自体が前方に突出しているケースです。骨自体硬い硬組織のため、歯並びに問題がなくても口元が突出して見えてしまいます。

これは遺伝的な要因が大きいとされ、日常生活で何かに気を付けたからと言って変わるタイプのものではありません。

また、子供の時期の矯正治療によって大きな改善が見込みにくいのも特徴の一つです。

 

・歯列の問題

歯が外側に傾斜しているケースです。

骨と同様、歯も硬い硬組織であるため、歯が外側傾斜していると口元が突出して見えてしまいます。

これも遺伝的な要因が大きいとされています。

歯が大きいという特徴が遺伝し、歯列の枠の中に納まりきらずに外側に押し出されている状態です。

これは子供の時期に顎を横側に拡大するとやや軽減させることが可能です。

 

習慣的要因

様々な習慣によって口ゴボが生じることがあります。例えば、「指しゃぶり」。これが長期間持続すると、上顎の横幅が狭くなり、上の前歯が外側傾斜してきます。

舌の癖も影響すると言われています。例えば、舌を前に突出させる癖(舌突出癖)がある方などは前歯を外に押しだして、歯が外側傾斜してしまいます。

また、口周りの筋肉が弱く、鼻通りが良くないという理由で口呼吸になっている方にも生じやすいと言われています。

 

 

 

▶口ゴボの何がダメなの??

・審美的影響

多くの患者様はこれが最も大きな来院動機になるようです。

人の好みは多種多様です。

個人的には必ずしも良くないとは思いませんが、良くないと思われて悩まれている方が多いようです。

悩みというのは心の健康上良くありません。

矯正治療がその解決手段になることは大いに喜ばしいことだと思います。

 

・健康への影響

口を閉じにくいため、口腔内が乾燥しやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

また、口を閉じることが出来ないと必然的に鼻呼吸ではなく、口呼吸となってしまいます。

口呼吸は健康上マイナスと言われており、風邪をひきやすく病の元になると考えられています。

 

 

 

▶▶口ゴボの治療法は??

口ゴボの治療は、原因や程度によって異なります。

主な治療法は以下の通りです。

 

・外科的治療

骨格性の問題が大きすぎる場合、外科矯正によって対応を行います。

このケースの場合、大学病院での治療となります。

口腔外科による骨切り術と矯正歯科による矯正治療を併用することが一般的です。

日本においては入院を伴い、全身麻酔下で行うケースが大半です。

入院期間は手術内容と施設によって異なりますが、1~2週間ぐらいとなります。

通常、「術前矯正→外科手術→術後矯正」の順番で行います。

 

・矯正治療

骨格性の問題があったとしても、矯正治療で対応できる範囲もそれなりに広いと言われています。

ご本人の主観として、変化を感じる治療方法は、「小臼歯抜歯+ワイヤー矯正+歯科矯正アンカースクリュー(TADs,ミニスクリュー,インプラント矯正)」となります。

このタイプの症例は、一般的にマウスピース型カスタムメイド矯正装置(製品名 インビザライン 完成物薬機法対象外)は相性が悪いとされています。(出来ないと言っているわけではありませんが。。。)

治療期間は概ね2年半ぐらいです。

 

・習慣の改善

舌の位置や癖、口周りの筋肉が原因となっている場合。

これらの現症に対しては口腔筋機能療法(MFTなどを通じて、正しい口腔周囲環境を整えますが、これだけで口ゴボが改善するケースは残念ながら非常に少ないのが現状です。

それではこの治療が必要ないのかと言われれば、それは全く違います。

口腔周囲の環境は、歯列の長期的な安定や悪い癖を取り除くのに必須となるケースが多いです。

必要性の高い場合は是非とも、MFTを行いましょう。

 

 

ここで、「口ゴボ」→「小臼歯抜歯+マウスピース矯正+TADs」+「MFT」症例を見てみましょう。

通常はマウスピース矯正ではなくワイヤー矯正の方が予測実現性の高い治療となり、そちらが推奨される装置選択です。

本症例はニッケルなどの金属アレルギーを認められたため、通常と違う装置選択を行っています。

 

 

 

 

▶▶症例

(治療前)

 

 

(治療方針)

上下顎両側第一小臼歯抜歯

(使用した装置)

インビザライン

歯科矯正用アンカースクリュー

顎間ゴム

 

 

(治療後)

 

口元の変化

全ての症例で同様ではありませんが、矯正治療だけでは不十分なこともあり、矯正治療直後から、MFTを行うことで、口腔周囲筋のバランスが回復し、審美的にも機能的にも最良の結果となりました。(上記の症例は美容外科手術を行ったわけではありません。)

多くの症例において、矯正治療のみで最善の結果となりますが、そうならない場合もあるという一例紹介です。

 

 

 

▶▶その他、口ゴボに関するよくある質問「Q&A

Q1. 口ゴボは自分で治せますか?

A1. 軽度の口ゴボであったとしても、Youtubeなどを参考に口腔筋機能療法(MFT)を行うだけでは改善が困難です。必ず、矯正専門歯科医院へご相談ください。

 

Q2. 矯正治療でどのくらいの期間がかかりますか?

A2. 口ゴボの矯正治療期間は、症状の程度や使用する矯正装置によって異なりますが、多くの症例は小臼歯抜歯が必要となるため、概ね2年半程度が目安とされています。外科手術を伴う場合は、さらに治療期間が長くなることがあります。

 

Q3. 口ゴボは遺伝しますか?

A3. 骨格的な特徴、歯の大きさは遺伝の影響を受けるため、親が口ゴボの傾向を持っている場合、子供にも同様の特徴が現れることが多いです。ただし、それ以外に環境要因や生活習慣によっても口ゴボの発生リスクは変わるため、注意が必要です。

 

Q4. 矯正治療は痛いですか?

A4. 矯正治療では、歯に力を加えて移動させるため、最初の数日間は違和感やお食事の際、痛みを感じることがあります。しかし、ほとんどの患者様は数日で慣れ、日常生活に支障をきたすことはありません。痛みの程度には個人差がありますが、鎮痛剤を服用することで和らげることができます。

 

Q5. 口ゴボの治療費用はどのくらいかかりますか?

A5. 治療費は、使用する矯正装置や治療方法、医療機関などによって異なります。しかし、他の不正咬合と同様になることが多いです。表側のワイヤー矯正の場合は100~120万円程度が相場です。外科手術を伴う場合は、さらに費用がかかることがあります。費用については、各歯科医院にて相談することをおすすめします。

 

 

 

▶まとめ

「口ゴボ」は矯正治療によって、多くの症例の改善が可能です。

この治療は、審美面/機能面において多くのメリットがあると言えます。

ただし、骨格性の要因が大きすぎる場合は、一般的な矯正歯科専門医院での治療は困難です。

相談を受けた医院から大学病院などを紹介してもらいましょう。

また、口腔周囲筋の改善も非常に重要となるため、矯正治療とMFTともに対応している医院を選択することが重要と言えます。

 

 

 

 

歯並びでお悩みの方は是非ご相談ください

院長:東野 良治

歯学博士・矯正歯科専門医である東野良治院長が対応いたします。些細なことでも構いません。お気軽にご相談ください。

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投稿日:2025年2月24日  カテゴリー:MFT(口腔筋機能療法), ☆☆人気ブログ☆☆, よくある質問, インビザライン, インプラント矯正, 大人の矯正治療, 歯並び・かみ合わせ・矯正治療

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