“中心結節”角が生えた歯?は要注意!BLOG
こんにちは。
東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
本日は「中心結節、ちゅうしんけっせつ」をテーマにします。
まずもって聞き覚えの無い名前かと思います。
これからどういうものか、ご説明をしますが「中心結節」という名前を覚える必要はありません。
ただ、角の生えた歯(突起のある歯)が出てきた際は要注意ということを記憶の片隅に置いていただければと思います。
▶中心結節ってどんな歯?
「中心結節」とは歯の形態異常の一つで、通常咬合面中央部に出現する円錐状小突起です。
イメージがわきにくいと思います。
このような突起です。(赤丸部分です。)
中心結節の好発部位は下顎第2小臼歯(下の真ん中から5番目の歯)で、発生率は1~4%とされています。
確率の問題ですので、中心結節が存在することはしょうがないことです。
ただ注意は必要となります
▶万が一、結節が折れたら → 重篤な状態になる恐れがあります。
中心結節(突起)はその内部に歯髄(歯の神経)があるため、咬合や咀嚼で折れてしまうと神経がむき出しになり(露髄)、歯髄炎を起こす可能性があるのです。
露髄した場合、最悪の事態として神経が死んでしまうのです。(失活)
そのため、中心結節が見つかった際には対応策をとる必要があります。
▶①中心結節への対応策は2つ
中心結節の困った特徴は、通常の歯と違い神経が歯の表層にまで伸びてきていることです。
僅かな表面の破折も、たちまち露髄につながるリスクがあります。
主な対応策は2つです。
①補強する
②少しずつ削る
①補強する
対応策1は中心結節を補強することです。
咬合や咀嚼により折れないように、突起の周りをレジン(硬質プラスチック)により埋めてしまう処置です。
周りを補強すれば、結節が折れるリスクはほぼ避けることが出来るでしょう。
最もオーソドックスな対応策です。
②少しずつ削る
対応策2は少しずつ削ることです。数か月~半年に1度、露髄しない(神経が出ない)レベルで少しずつ削っていく処置です。
通常このような処置を行うと、表層まで伸びてきている神経の空洞が徐々に第2象牙質に置き換わっていきます。つまり、歯の表層から神経が遠ざかるわけです
中心結節の大きさ、形態により最善の処置が異なるため、矯正歯科専門の本院では判断を下さず、処置をお願いする一般歯科医院に判断を委ねることにしています。
中心結節は意外と気付かない間に露髄し、急性症状へとつながることがあります。
そのため、注意が必要なのです。
中心結節の好発部位、下顎第2小臼歯の萌出時期は11~12歳です。
この年齢は、本院の患者さんの場合、ちょうど歯の生え変わりをフォローしている時期のため、早期発見の機会が多いのです。
矯正歯科医院に通院していない場合でも、かかりつけ歯科医を持ち、定期的な健診を受けることは大事だといえるでしょう。
▶“中心結節と便宜抜歯”
まず、「便宜抜歯」についてご説明します。
矯正治療では治療計画上、やむにやまれず大人の歯の抜歯が必要な場合があります。
(当たり前ですが、すべての症例に抜歯が必要なわけではありません。)
この抜歯を便宜抜歯(べんぎばっし)といいます。
便宜抜歯は通常、真ん中から数えて4番目か5番目の歯を選ぶ場合が多いのです。
(4;第1小臼歯、5;第2小臼歯)
中心結節の好発部位は下顎第2小臼歯であることから、中心結節が存在し、かつ便宜抜歯が必要な症例であれば、その歯が選ばれる可能性が非常に高くなります。
私たち矯正歯科医も好き好んで歯を抜きたいわけではありません。
便宜抜歯がどうしても必要な場合、様々な角度から判断・決断を行います。
その判断材料の1つに中心結節の有無があるのです。
▶まとめ
このブログの冒頭で「中心結節」の名前を覚える必要はないとお伝えしましたが、何となくのイメージは頭に残していただけましたでしょうか?
中心結節は発生率が1~4%と決して低くないため、しばしば遭遇するはずの歯です。
しかし、意外と発見されずリスクを抱えた状態で放置され、重篤な状態に陥ることが多いようです。
小児期から矯正治療を始めた患者様は定期的に通院するため、中心結節の見落としはまずありません。
もし仮に、矯正治療を受けていなかったとしても、定期的にかかりつけ歯科医のチェックを受けていれば見落とす可能性は低くなるでしょう。
出来れば、見落としたくないですね
「これは中心結節かな?」と思ったら、出来るだけ早く歯科医院に相談に行きましょう。
歯並びでお悩みの方は是非ご相談ください
歯学博士・矯正歯科専門医である東野良治院長が対応いたします。些細なことでも構いません。お気軽にご相談ください。
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投稿日:2015年11月7日 カテゴリー:よくある質問, 口腔衛生・予防歯科