スペース確保方法の1つ:「カリエール」による臼歯遠心移動BLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
矯正治療の様々な場面で、スペースを新たに確保する必要性が生じます。
今回は、スペース確保方法の中で最も難しいとされる「臼歯遠心移動」を達成する装置の
一つ「カリエール(カリエールモーション、カリエールディスタライザー)」についてお
話いたします。
(⇒関連ブログ「足りないスペース(隙間)の作り方:5パターン」)
(本院では、臼歯遠心移動を行う方法として、歯科矯正用アンカースクリュー(インプラント矯正)・インビザライン・ヘッドギアといった選択肢があります。)
このように、臼歯遠心移動にはいくつか方法がありますが、このカリエールはいったいど
のような特徴を持ち合わせているのでしょうか?
▶非常にシンプルな装置です。効果も抜群です。
そもそも、臼歯遠心移動は一昔前まで、非常に困難な方法という位置づけでした。
しかし、現在ではいくつかの方法において可能となりました
カリエールもその一つです。
形態は非常にシンプルです。
使用方法もシンプルです。
それではまずどのようなものかを見ていきましょう。
*左写真:正面観、右写真:右45度
上の金属の棒状の装置がカリエールです。
最もオーソドックスな使用方法は、上の3番目と6番目の歯にカリエールを接着します。
上の3番目と下の歯の6番目の歯にリング状のゴム(顎間ゴム)を引っかけます。
ゴムは終日使用が原則です。
そうすることにより、下写真のように上の臼歯には全体的に後方への力が伝わります。
▶欠点は?…デカい!金属なので目立つ!
効果は抜群ですが、やや目立ちます。
これが最大の欠点です。
非常に残念ですが、これが原因でカリエールを受け入れていただけない場合があります。
昨年から、目立ちにくいクリアタイプ(透明)のカリエールが発売されるといわれなが
ら、まだ発売に至っていません。
目立ちやすいということが理由で患者様から避けられる装置ですが、クリアタイプカリ
エールが登場すれば使用頻度はぐっと高くなるに違いありません。
それだけ、抜群の効果が期待できます。
それでは、実際の使用例をみていきましょう。
▶上と下の臼歯(奥歯)の位置に注目してください。
正常咬合で目指す奥歯の関係は下のイラストの通りです。
イラストに注目してください。
イラストの上下6番目の歯の関係が理想形です。
それでは、カリエール使用前後の口腔内写真を見ていきましょう。
カリエール使用前
↓
カリエール使用中
↓
カリエール使用後
カリエール使用前後で、上下6番目の歯の位置関係に変化があることをお分かりいただけますでしょうか?(上下6番の理想形に近づいています。)
「ちょっとした差じゃないか!!」と思われるかもしれません。
しかし、これがすごいことなのです。
また、別症例ですが、カリエールを使用し矯正治療を行った症例のスライドショーをご覧ください。
▶まとめ
「カリエール」は一言でいうと、「おしい!!」装置です。
なぜなら、見た目は悪いが、臼歯部遠心移動を行う上で有用な装置だからです。
本院でも、見た目の悪さは重々承知の上で患者様にお勧めする場合があります。
「カリエール」を提案された場合、他の選択肢と比較して一度ご検討ください。
「やっぱり目立たない方がいい」「治療期間が短い方がいい」「費用を抑えたい」など
個々の状況に応じて判断していただければと思います。
ただ、一考する価値はありです。
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*現在、「カリエールクリア」という新装置が登場し、そちらを使用しています。
「目立つ」という欠点を克服しました。「デカい!」という点は強度の問題からまだ未解決です。
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投稿日:2016年6月23日 カテゴリー:大人の矯正治療, 子どもの矯正治療