よく使用する矯正装置~TPA(トランスパラタルアーチ)/LiA(リンガルアーチ)~加強固定、保隙(スペース確保)、その他の用途などBLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
本日は「TPA(トランスパラタルアーチ)/LiA(リンガルアーチ)」についてお話します。
おそらく聞いたことのない単語だと思います。
しかし、TPA/LiAは矯正治療の様々な場面で使用するのです。
どんなものかというと次の写真のようなものです。
*TPA(ボンディングタイプ)
*TPA(バンドタイプ)
*リンガルアーチ
それではどんな場面で使用するのかを見ていきましょう。
▶使用法その①「抜歯症例にて」加強固定
最もオーソドックスな使用方法です。
一般的に、抜歯症例(小臼歯抜歯)では抜歯したスペースのマネジメントが必要となります。
抜歯したスペースは、その前方部の歯(前歯)と後方部の歯(臼歯)の引っ張り合いっこにより最終的に閉鎖します。
ふつうに引っ張り合いっこをすると、臼歯も前方に移動してしまいます。(下のイラスト参照)
TPAはいわば臼歯が前方へ移動しにくくなるつっかえ棒のようなものです。
とはいえ、TPA/リンガルアーチは臼歯の前方移動を完全に抑えることはできません。
そのため、抜歯スペースの1/2から2/3ほどを前歯の後方移動に利用したい症例でTPA/リンガルアーチを使用します。
(下のイラスト参照)
また、ボンディングタイプのTPAであれば、製作時の患者様負担も比較的少なく、気軽に治療方針に組み込むことができます。(歯型を採るだけです。)
抜歯スペースをすべて前歯の後方移動のために使用したい際には、歯科矯正用アンカースクリュー「インプラント矯正」が必要となります。(TPAでは達成できません。)
(下のイラスト参照)
症例により、抜歯したスペースの利用方法が異なるのです。
▶使用法その②「保隙」スペースを保つ
保隙とはスペースを保つことを指します。
本院では、小児症例で想定より早く乳歯が抜けてしまったとき、または連続抜去法を行う際に使用します。
下顎の「保隙」にはリンガルアーチを主に選択します。
簡単に図解すると下のようになります。
保隙しない場合
↓
臼歯(奥歯)はスペースがあると前方に移動する性質があります。
↓
臼歯が前方移動し、後続永久歯の萌出スペースが無くなってしまいました。
保隙した場合
↓
今回はリンガルアーチを装着しています。
臼歯は前に移動できません。
↓
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後続永久歯のスペースを確保でき、自然な歯の交換を達成することができています。
一連の動画はこちらです。↓
▶使用法その③「補助装置の装着」用途は様々、ex)埋伏犬歯の牽引
TPAとリンガルアーチは様々な応用が可能です。
1例を挙げると、埋伏犬歯の牽引時に使用します。
様々な原因が重なって上顎の犬歯が埋伏する場合があります。
症例の難易度としては超難症例です。
症例写真を見ていきましょう。
レントゲンと口腔内写真を見ていただくとわかりますが、犬歯(真ん中から3番目の歯)が見当たりません。
そう、埋伏しているのです。
犬歯は人間にとって大切な歯なので、何とか引っ張り出してくる必要があります。
この症例は、骨の中に埋まっている犬歯を引っ張り出してくるという方針を取りました。
この際に、リンガルアーチを利用したのです。
↓
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このように、補助装置を利用し何とか引っ張り出すことに成功しました。
(この後、歯列内へ配列するための治療を行います。)
▶まとめ
矯正治療というと、下写真のようなマルチブラケット装置(表側矯正)、リンガルアプライアンス(舌側矯正、裏側矯正)、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(マウスピース矯正、インビザライン)を想像するのではないかと思います。
しかし、実際はTPAやリンガルアーチなどのような付加装置を併用する場合が大半を占めます。
矯正診断の時に付加装置に関する説明を受けることになると思います。
様々な装置が登場します。
ご興味がある方は、いろいろご質問されると良いですね。
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投稿日:2016年6月16日 カテゴリー:大人の矯正治療, 子どもの矯正治療, 歯並び・かみ合わせ・矯正治療