矯正装置(ブラケット、ブレース)が外れやすいケースBLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
矯正治療では様々な装置を用いますが、多くの症例で使用する「ブラケット」。
今回はこの「ブラケットの脱離」についてお話しいたします。
まず、ブラケットとは歯に接着させる小さな装置のことです。
上図の赤丸で囲んだ装置です。
また、脱離とは歯に接着したブラケットが外れてしまうことです。
ブラケットは歯科用接着剤で、歯の表面に一つずつくっつけていきます。
当然のことながら、矯正治療後外します。
そのため、外れないような接着力でくっついていては困るわけです。
私はよく「外れにくく、外しやすい」程度の接着力でくっつけますと説明しています。
つまり、絶妙な強さで接着しているのです。
それでは、どのようなときにこのブラケットは外れやすいのでしょうか?
▶ブラケットが外れやすい人
ブラケットが外れやすい人は確かに存在します。
治療開始から終了まで一度も外れない人もいるのになぜなのでしょうか?
考えられる理由はいくつかあります。
▶金属、セラミックの詰め物・かぶせ物が多くある人は外れやすい?!
歯科治療歴の多い方のお口の中は多くの詰め物・かぶせ物が入っています。
詰め物(インレー)・かぶせ物(クラウン)に接着したブラケットはよく外れます。
これは、歯科用接着剤と金属・セラミックとの接着相性の悪いことが原因です。
接着の相性が悪いため、金属・セラミックに特殊な処理を施しますが、それでも外れる場合があります。
治療の進行上、どうしても外れて困る場合はバンドを使用したり、プラスティックの仮歯(テック)に置き換えるという最終手段がありますのでご安心ください。
▶咬み合わせが深い症例(過蓋咬合症例)は外れやすい?!
過蓋咬合とは、咬み合わせが深いとも言われ、上の前歯が覆いかぶさって下の前歯が見えない状態のことを指します。
下の写真のように、このような症例では上顎前歯のブラケットが邪魔して奥歯で咬むことができません。
過蓋咬合症例では、物を噛む力により時折ブラケットが外れてしまうことがあります。
対応策としては
①ブラケットが歯に当たっても気にしない。→再接着する
②ブラケットが当たらない位置まで歯を動かす。
③奥歯にセメントを盛る。
たいていの症例では、①と②の対応でも問題ありません。
しかし、どうしても脱離する場合には、③奥歯にセメントを盛るという最終手段があります。
上図の赤丸がセメントです。
「③奥歯にセメントを盛る」参照動画をご覧ください。
特に裏側矯正(舌側矯正、リンガル)の治療では、③は必須であることが多いです。
裏側矯正(舌側矯正、リンガル)≒③奥歯にセメントを盛ると言っても過言ではありません。
(少し言い過ぎかな???)
始めは、咬む位置が高くなるため不快ですが、徐々に慣れてきますのでご安心ください。
▶なぜか脱離する人?!
最後に、インレー・クラウンがない、咬み合わせも深くないのに、なぜかブラケットが外れやすい人がいます。
接着面は天然の歯、接着の環境・手順も問題なし。
それでも外れやすい人が一定数いらっしゃいます。
とはいえ、外れる頻度は前者2つと比べると非常に低いです。
おそらく、顕微境レベルでの歯の表面構造の問題だと考えられます。
これは仕方がありません。
脱離するたびに根気よく接着し直すしかありませんね。
▶まとめ
矯正治療が終了するまでに何度かブラケットが脱離することはありますが、それにはそれぞれ理由があります。(全く脱離しない場合もありますが。)
しかし、治療の進行上問題になることは通常ありません。
歯並びでお悩みの方は是非ご相談ください
歯学博士・矯正歯科専門医である東野良治院長が対応いたします。些細なことでも構いません。お気軽にご相談ください。
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投稿日:2015年10月5日 カテゴリー:よくある質問, 歯並び・かみ合わせ・矯正治療