目立ちにくいブラケット InVu mini (審美ブラケット)BLOG
こんにちは、東京都千代田区の矯正歯科専門医院・神保町矯正歯科クリニック院長の東野良治です。
今日は「目立ちにくいブラケットInvu mini」についてご説明いたします。
矯正治療、特にワイヤー矯正では様々な器具を使用します。
その中で、メインの存在は「ブラケット」と「ワイヤー」です。
(*矯正治療で用いる装置の名称は「ワイヤー矯正で使用する装置の名称」のブログを参照してください。)
ここでお話する目立ちにくいブラケットは表側矯正についてです。
一昔前と比べると表側矯正に用いるブラケットも格段に目立ちにくくなりました。
ブラケットの素材は「①金属」、「②プラスチック」、「➂セラミック」の3種類に大別することができます。
もちろんどれかがすべてにおいて優れているということはありません。
それぞれに、良し悪しは存在します。
今回ご紹介する「InVu mini」は、現在本院において主に上下顎前歯(笑って見える部分)に使用しています。
それは次の理由からです。
▶自然な色調、歯の色とのマッチングが良い
「InVu mini」の素材はセラミックです。
一般的にセラミックブラケットは歯に近い色調を出すことが出来、最も目立ちにくいと言われています。
特にこの「InVu mini」は独自の光反射技術を駆使し開発されています。
簡単に説明すると、「外部からの光がブラケットを通して歯の表面に到達すると、その光が歯の色を反射させる」という技術です。
(図:TPOJのHPより)
実は、歯の色は真っ白ではありません。
しかもその色調には個人差があります。
そのため、ブラケットは平均的な歯の色を再現するのではなく、光がうまく歯の色を反射できる構造であることが望ましいのです。
「InVu mini」にはその技術が集約されているからこそ、目立ちにくいブラケットだといわれているのです。
▶セラミックブラケットなのに、、、小さいです。
一般的に、セラミックブラケットは他のブラケット(金属、プラスチック)と比べて大型になる傾向があり、それが欠点とも言われています。
いくら色合いが良くとも、その装置自体がデカすぎれば、さすがに目立ってしまいます。
そう、セラミックブラケットはデカいのです。
それが、これまで標準的なブラケットとして選ばれなかった理由の一つだと思います。
一時期、爆発的に普及するかといわれたデーモンブラケット。
改善に改善を重ねたが、大きさの克服ができませんでした。
性能では画期的で優れているにもかかわらず、シェアを取れなかった理由はここにあるのではないかと個人的に考えています。(デーモンブラケット自体非常に優れたブラケットです。誤解の無いように付け加えます。また、患者様のご希望があれば使用いたします。)
本院でもデーモンブラケットをメインのブラケットとして採用しようかと何度も検討しましたが、.022ブラケットであること、実物を何度見てもはやりデカい、これが障壁となり見送りました。
「InVu mini」はとにかく小さいブラケットです。
毎年、日本矯正歯科学会の商社展示で各社のブラケットを確認するようにしていますが、現状でこれより小さいものはありません。
ブラケットの大きさは色調とも引けを取らないくらい、「目立ちにくい」という要素に欠かせません。
▶ハイブリッド構造
「InVu mini」の他にはない特徴の一つがこのハイブリッド構造です。
何がハイブリッドかというとブラケットの本体部分がセラミック、歯面と接着するベース部分がレジンです。
(レジンとはプラスチックのことです。)
(写真の赤丸部分がベースです。TPOJのHPより)
この構造は、矯正装置を外す時(ブラケットリムーブ時)にその特徴をいかんなく発揮します。
簡単に説明すると、ブラケットを外しやすいのです。
セラミックは非常に硬いという特徴を持っています。
それが歯面に強固に接着すると、なかなか簡単に外せるものではありません。
「InVu mini」のベースはレジンであるため、セラミックより柔らかいのです。
そのため、ブラケットを外す時、ベース面がたわんで簡単に歯面から外すことが出来ます。
外しやすい方が歯にとってもやさしいですね。
ブラケットをディボンドする動画をご覧ください。(動画で用いるブラケットは金属です。)
▶摩擦が少なく、歯の動きが良い
従来のセラミックブラケットには、「滑りが良くない」という欠点がありました。
ブラケットスロットの滑りが悪いと、結果として歯のスムーズな移動が阻害されることになります。
「InVu mini」はこの欠点を改善するために、「削り出し製法」ではなく「インジェクションモールド製法」にて製作しています。
「インジェクションモールド製法」は溶かしたセラミック樹脂を流し込むため、仕上がった時の表面がツルツルになるのです。
(左が「インジェクションモールド製法」、右が「削り出し製法」、TPOJのHPより)
つまり、「表面がツルツル → ワイヤーの滑りが良い → 歯の動きがスムーズ」ということです。
データ上でもメタルブラケットと比較し、遜色のない結果が得られています。(TPOJさんのデータです。)
▶セラミックのため、時間がたってもきれいなまま
もう一つの審美ブラケット=「プラスチックブラケット」の最大の欠点は、時間が経つと変色してくることです。
なぜならば、プラスチックはその性質上、吸水性があるからです。
水をわずかに吸収した時に色素も一緒に取り込んでしまいます。
これがプラスチックブラケット変色のからくりです。
セラミックはこのような現象が起こりにくく、少なくとも矯正治療期間は元の色調を保ち続けるのです。
▶まとめ
セラミックブラケットの良い面を残しつつ、悪い面を改善した「InVu mini」。
機能面ではセルフライゲーションブラケットと比べるともう一歩の点もありますが、それを補いうる審美性を兼ね備えています。
本院ではそこまで機能性を追求する必要のない上下顎前歯部(前歯6本、笑って見える部分)に採用しています。
もちろん、現段階でこのブラケットを採用しているのであって、来年は変わっているかもしれません。
一年に一度、日本矯正歯科学会に合わせてブラケット・ワイヤーの見直しを行っています。
向こう一年、上下顎前歯部には「InVu mini」を用いることになるでしょう。
(早くこれを超えるブラケットが登場してほしいですね。)
表側矯正ですが、意外と目立ちませんよ。
実物をご覧になると、さらにお分かりいただけるのではないかと思います。
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投稿日:2015年12月27日 カテゴリー:☆☆人気ブログ☆☆, 大人の矯正治療, 子どもの矯正治療